4 外部評価委員会の意見

⑴ 業務環境について

 この3か年の佐賀県内の経済動向は、平成30年度から令和元年度において「県内経済は、回復しつつある。」とされていたが、令和2年度に入ってから国内外で新型コロナウイルス感染症の拡大により状況が一変し、「新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況にあるなか、一部弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある。」と判断されている。

 このような中、佐賀県信用保証協会(以下「協会」という。)は、国及び県の中小企業対策に即応し、中小企業・小規模事業者(以下「中小企業者等」という。)の資金繰り支援や経営・再生支援に積極的に取り組まれた。

 

⑵ 業務運営方針について

 この3か年、各部門において掲げた方針については積極的に取り組まれ、中小企業者等の育成・発展に大きく貢献されたこと、また「佐賀県新型コロナウイルス感染症資金繰り対策資金」及び「佐賀県新型コロナウイルス感染症対応資金」(以下「コロナ資金」という。)を積極的に対応されたことは評価できる。

 コロナ禍で協会の置かれた状況や、経営上の目標とすべき重要な指標も大きく変わったことと思われることから、それらを適切に今後の中期計画等に反映頂き、引き続き、協会の経営基盤の安定、今後の発展に尽力していただきたい。

 

【中期事業計画に掲げられた業務運営方針6項目の個別評価】

① 政策保証の推進及び信用保証の浸透

 定例相談や各種機関との勉強会等にて各種政策保証の紹介や周知を行ったことは評価できる。

 また、コロナ資金により保証利用者も10,103企業(対前年比+3,180企業)まで大幅に伸長しており、その結果中期計画における目標を達することとなった。

 今後は、コロナ禍において利用企業等が拡大したことを踏まえ、当該利用者の利用の維持・継続が適切な範囲でなされることが重要と思われることから、従前の新規取引先の獲得のための計画に加え、この点についても目標を定めるなどして計画を行い、引き続き保証利用者の維持に取り組んでいただきたい。

 

② 総合支援機関としての取組み

 創業者へのフォローアップ、専門家派遣事業による各種計画策定支援、中小企業再生支援協議会や金融機関との連携による求償権消滅保証の導入、後継者塾の開催など中小企業等のライフステージや実態に応じた支援をされており評価できる。

 創業者支援、再生支援及び事業承継支援は今後も重要度が増し、協会における重要な業務になると思われ、引き続き積極的に取り組んでいただきたい。

 

③ 中小企業の経営の改善発達に向けた取組み

 プロパー融資と保証付融資のリスクシェアに関する認識の共有化を図るため、金融機関との連携を深められたことは評価できる。今後は、ライフステージに応じた適切な金融支援を金融機関と協力して継続的に実施し、中小企業者等の経営改善や生産性向上へのサポートに取り組んでいただきたい。


④ 金融機関等と連携した期中支援の取組み

 初期延滞先や事故報告書受付先の経営状況の把握に努め、早期着手されたことで代位弁済の抑制につながっている。

保証債務残高が急増したことで今後期中管理先も増加すると予想されるため、引き続き期中管理の強化、関係機関との連携に取り組んでいただきたい。

 

⑤ 回収の効率化

 関係人等への実情に応じた回収方法(損害金減額免除、保証債務免除、求償権消滅保証)の提案により、回収の効率化に努められたことは評価できる。無担保の求償権が増加する中、今後も回収環境は厳しさを増すものと思われ、更なる回収の合理化・効率化に取り組んでいただきたい。

 

⑥ その他間接部門

 広報活動としては従来の活動に加え、ホームページのリニューアルや佐賀市の広告封筒を利用するなどの取組みをなされており評価できる。また、令和2年度においてはコロナ禍において知名度が大きくアップしている。コロナ禍で増加した利用者や、そのほか新規の創業者等に対して、相手方の状況に応じた広報を効果的に行うなどして、今後も協会の知名度の維持拡大に向けた取組みを行っていただきたい。

 人材育成については、協会の業務も年々多様化しており、環境の変化に対応できる人材の育成に継続して取り組んでいただきたい。

 

⑶ 総括

 県内の中小企業者等を取り巻く環境や経済・金融情勢は年々大きく変化しており、令和2年度においてはコロナ資金により過去に例を見ない規模で資金供給が実施された。今回の中期事業計画では、各年度における重点課題への取組みは、積極的に取り組まれており評価できるが、一方ではコロナ感染症の影響やコロナ資金対応への注力により、実施不可能となった項目も見受けられる。外的要因に左右される面は考慮できるが、コロナ資金によってさらに重要となった経営支援や期中管理の強化を図りながら、コロナ禍で実施不可能となった項目についても次期中期事業計画において達成できるように鋭意努力してもらいたい。

 本制度の有効活用により、協会の経営基盤の安定、更には今後の発展に繋がることを期待する

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