3 業務運営方針

⑴ 政策保証の推進及び信用保証の浸透

 定例相談、金融機関との勉強会及び商工団体主催の金融懇談会等に積極的に参加し、各種政策保証の紹介や周知を行いました(金融機関との勉強会や商工団体との金融懇談会へは、平成30年度18回、令和元年度17回参加)。また、3年以内に完済処理した法人に保証の利用を促すダイレクトメールを平成30年度543企業、令和元年度483企業へ送付し、保証利用の促進を図りました。

 ただ、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、コロナ資金の申込みが殺到したことで、定例相談、勉強会や金融懇談会等への参加及びダイレクトメールの送付は控えましたが、協会ホームページ・保証月報を活用した広報活動や県制度金融説明会などへの出席により保証制度の周知に努め、保証承諾10,095件、1,843億2,525万円、保証債務残高14,184件、2,034億7,555万円と激増しました。また、減少傾向にあった保証利用についても、これまで利用のなかった優良中小企業者や協会利用を離れた事業者からの保証申込みもあり保証利用者数10,103企業(対前年比+3,180企業)、保証利用度41.4%(同+13.1%)となり大幅に増加しました。

 

⑵ 総合支援機関としての取組み

 中小企業のライフステージや実態に応じた経営支援(創業・期中・再生・事業承継)について、次のように取り組みました。

 創業支援については、創業者のフォローアップに重点を置き、3か年で147先の創業者に実施したところ45先に対し金融面による追加支援を行いました。

 期中支援については、専門家派遣事業による各種計画策定支援に取り組んだところ、3か年で経営改善計画43先、生産性向上計画8先の合計51先にその後のフォローアップも含めて実施しました。

 再生支援については、回収部門と協働し、中小企業再生支援協議会や金融機関と連携しながら求償権消滅保証に取り組んだところ、3か年で4先1億5,800百万円の求償権消滅保証による融資を実行し、2先を翌期に繰り越しました。

 事業承継支援については、事業引継ぎ支援センターを講師として内部研修を開催し、事業承継に理解を深めたうえで、専門家派遣事業に事業承継を追加し(実施3先)、後継者塾を開催して延べ36名の参加を受け付けました。また、事業承継ネットワーク事務局と協働で5金融機関の研修会で「経営者保証ガイドラインとその特則」及び「業承継特別保証」について説明し、利用促進に取り組みました。

 

⑶ 中小企業の経営の改善発達に向けた取組み

 プロパー融資と保証付融資のリスクシェアに関する認識の共有化を図るため、金融機関の本部等を定期的に訪問し、連携体制の構築に努めました。金融機関の金融支援状況は、平成30年度49.0%(全国45.8%)、令和元年度49.3%(同47.1%)令和2年度53.3%(同49.2%)と全国と比較しても高い数字となっています。

 また、資金調達に不安を抱える中小企業者に対し金融機関を紹介する取組みについては、マニュアルを策定し、紹介窓口の設置などで中小企業者に金融機関への紹介等を行いました。実績は、平成30年度に受付16件、紹介実施9件、令和元年度に受付1件、紹介実施1件、令和2年度は受付、紹介実施ともに0件と低調に推移しました。特に令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により金融機関訪問等を控えたことで実績無しとなりました。

 今後も、中小企業のライフステージに応じた適切な金融支援は、金融機関と協力して継続的に実施し、中小企業者の経営改善や生産性向上へのサポートに努めていきます。

 

 ⑷ 金融機関等と連携した期中支援の取組み

 金融機関等との連携により、期中支援の早期着手を図るために初期延滞先や新規事故報告先の経営状況の把握に努め、必要に応じて中小企業支援機関等を活用し、期中支援に取り組みました。

 初期延滞先(延滞回数3回未満)は、3か年で903先のうち、条件変更134先、代位弁済69先、また新規事故報告先は、293先のうち、条件変更31先、代位弁済119先となりました。

 結果として代位弁済は、初期延滞先への早期着手が功を奏し、全体の7.6%にとどまりましたが、新規事故報告先は、事故報告書受付時点において法的整理による期限の利益喪失協議先が多く、全体の40.6%となりました。

 

⑸ 回収の効率化

 求償権への基本的な対応について、初動の徹底、計画先で挙げた未入金先への交渉促進に注力しましたが、無保証人、法的手続き等の増加により定期回収は減少しました。

 有担保求償権に対する継続交渉について、交渉の長期化、有担保案件の減少等により不動産の回収額も減少しました。

 また、定期弁済を継続している求償権への対応について、関係人等への実情に合った回収方法(損害金減額免除、一部弁済による保証債務免除、求償権消滅)の提案により回収額は横ばいで推移しました。

 

定期回収額 /平成30年度3億100万円、令和元年度2億8,000万円、令和2年度2億5,000万円

不動産回収額/平成30年度1億1,200万円、令和元年度6,900万円、令和2年度5,500万円

その他回収額/平成30年度2億5,500万円、令和元年度2億5,800万円、令和2年度2億4,700万円

 

 回収見込みがない求償権への対応について、早期見極めにより管理事務停止及び求償権整理等の手続きを実施しました。

 

管理事務停止/平成30年度542件、46億6,700万円、令和元年度254件、16億7,000万円、

       令和 2年度361件、26億8,900万円

求償権整理 /平成30年度398件、28億1,900万円、令和元年度399件、35億400万円、

       令和 2年度398件、40億100万円

 

⑹ その他間接部門

 内部管理体制については、コンプライアンス・プログラムを着実に実施し、内部検査や個人データの取扱状況の点検・監査にも取り組みました。また、反社会的勢力等の排除に向けて情報収集やスクリーニング作業を毎月実施し、これまでの取組みを継続して行うことができました。

 人づくり及び健康な職場づくりについては、職員の専門的知識の習得とスキルアップを図るため各種研修やセミナーを受講させました。ただし、令和2年度においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響で外部研修はほとんど受講できませんでした。

 また、健康な職場づくりとして年間健康推進計画を策定し、職員の健康増進に努めました。

 広報活動については、協会のホームページのリニューアルや新しい広報媒体を利用するなど知名度のアップと中小企業に協会情報が直接届くよう見直しに努めました。

 地方創生等への貢献に努めるための取組みの推進については、地公体主催の創業セミナーへの講師派遣や金融機関等で事業承継について説明を行うなど、地域の産業振興に努めました。

 その他間接部門の各項目について、プログラムや年間計画を着実に実践していきましたが、最終年度(令和2年度)は新型コロナウイルス感染症の影響で一部の項目において中止や延期をせざるを得ない状況となり、次年度以降の課題となりました。

 

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