1 業務環境

⑴ 県内の経済情勢

 福岡財務支局佐賀財務事務所の県内経済情勢報告によると、平成30年度から令和元年度において「県内経済は、回復しつつある。」とされていましたが、令和2年に入ってから国内外で新型コロナウイルス感染症の拡大により状況が一変し、令和2年度においては「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある。」とされています。

 平成30~令和2年度の県内企業整理倒産(負債1,000万円以上)は、㈱東京商工リサーチの調べによると、各年度の倒産件数は34件~38件、負債総額は36億~49億で推移し、平成の中でも低水準となりました。しかし、令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の制限等の影響に対処するための、国及び県による緊急経済対策の効果によるものと推察され、コロナ禍において先行きは不透明です。

 

⑵ 中小企業向け融資の動向

 県内に本店を有する地方銀行及び第二地方銀行の中小企業等貸出残高は、平成30~令和元年度は横ばい、または微増で推移していましたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症への緊急経済対策(県による「新型コロナウイルス感染症資金繰り対策資金」及び国による「新型コロナウイルス感染症対応資金」(以下「コロナ資金」という))によりそれぞれ増加しています。

 一方、当協会の保証債務残高は、コロナ資金の申し込み殺到により急激に増加しました。


【中小企業等貸出残高】

                                                   (単位:億円)

   平成30年度 令和元年度 令和2年度
 地方銀行 12,335 12,333 13,309
 第二地方銀行 1,561 1,616 1,777

 

⑶ 佐賀県内中小企業の資金繰り状況 

 平成30年度から令和元年度においては、金融機関が中小企業等からの返済緩和申請に対する柔軟な姿勢を継続したことに加え、中小企業向け融資を積極的に行ったことで、倒産状況の推移からも判断されるように県内中小企業の資金繰りは落ち着いた状況にありましたが、令和2年に入ると新型コロナウイルス感染症の影響で状況が一変しました。コロナ禍において売り上げの減少などにより資金繰りが悪化するなか、コロナ資金など大規模な各種金融支援策により、大規模な資金供給が実施されました。しかしながら、業績の回復が遅れている中小企業などは過剰債務となっており、今後の影響が懸念されます。

 

⑷ 佐賀県内中小企業の設備投資動向

 福岡財務支局佐賀財務事務所の法人企業景気予測調査によると、平成30~令和2年度の中小企業の設備投資動向はすべて増加見込みで推移してきました。

 しかし、当協会における設備資金の保証承諾額構成比は、平成30年度12.4%、令和元年度15.1%と増加していましたが、令和2年度は1.0%と大幅に減少(令和2年度設備資金承諾額17億7,200万円/対前年度比46.0%)しました。これは、コロナ禍における売り上げの減少等により、資金繰りなどの運転資金の申込需要が圧倒的に多かったことが窺えます。 

 

⑸ 佐賀県内の雇用情勢

 佐賀県主要経済統計速報によると、平成30~令和2年度の県内雇用情勢は、有効求人倍率(就業地別)が平成31年2月1.59倍、令和2年2月1.40倍、令和3年2月1.23倍と18か月連続で前年同月を下回っており、新型コロナウイルス感染症の影響により弱い動きとなっています。


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