4 重点課題の取り組み状況
昨年度の重点課題として掲げた項目への取り組み状況は、以下のとおりです。
⑴ 保証部門
① コロナ資金終了後の資金繰り支援への取組み
コロナ資金の後継資金として、「伴走支援型特別保証」や「事業再生計画実施関連保証(感染症対応型)」の推進に努めましたが、令和2年度に実施されたコロナ資金(令和2年度全承諾額1,843億円、うちコロナ資金の承諾額1,740億円)により、手元資金を確保している企業も多く、年間を通して資金需要は低調に推移しました。
新たな資金需要が低迷する中、コロナ資金終了後の企業の現状を把握するため約1,200企業にアンケートを実施しました。
コロナ禍の長期化や原油価格高騰の影響等から経営状況が悪化している企業も多く、資金の再調達や返済額緩和の変更申込に迅速に取り組む必要があります。
② 経営者保証を不要とする保証の適切な対応
経営者保証を不要とする保証については積極的に対応していますが、令和3年度は前述のとおり資金需要が低迷したため件数、金額ともに大幅に減少しました。
経営者保証を不要とする保証の取組みは、事業承継や再チャレンジの促進にも繋がるものであり、金融機関と連携しながら今後も積極的に取り組む必要があります。
③ 保証業務の電子化へ向けた効率的な事務手続への取組み
保証申込書等の書式変更(令和3年4月)、保証委託契約書の徴求時期変更(令和3年7月)について金融機関、商工団体へ周知を図り、混乱なく順調に移行できました。
全国統一の保証業務の電子化については全国信用保証協会連合会(以下「全保連」という。)を中心にシステム開発が進んでおり、情報収集に努めました。
システム導入に向けて引き続き全保連からの情報収集に努めるとともに、参加対象となる金融機関との意見交換を行い、電子化推進のための準備を具体化していく必要があります。
⑵ 期中管理・経営支援部門
① 期中支援(経営改善支援)・再生支援の強化
ア 経営改善支援候補先企業として75社を抽出し、金融機関と候補先企業毎の取組方針を協議した結果、経営改善支
援先として15社を選定。当協会の専門家派遣事業による経営改善計画策定支援に取り組みました。
イ 経営改善支援企業のうち、コロナ禍の影響を受け資金繰り支援が必要な先に対し、中小企業再生支援協議会の新
型コロナウイルス特例リスケジュールなどで26社、伴走支援型特別保証などによる新規保証で20社(合計4億100
万円)に対応しました。
ウ 経営支援企業の決算情報を中小企業経営診断システム(McSS)に登録し、そのうち83社に経営診断報告書を
提示した結果、財務内容から見える改善点などを理解してもらいコミュニケーションを深められました。
エ 他部署との連携による期中支援の取組強化として、保証課から6社の相談を受け経営改善策定支援などに取り組
み、管理課から3社の求償権消滅保証の打診を受け、2社(合計1億200万円)に対応しました。
今後、コロナ資金の返済が本格的に始まることで条件変更などが増加する見込みから、金融機関、関係専門機関及び当協会の他部署との連携をさらに強化して取り組む必要がある。
② 事業承継支援の強化
ア 事業承継特別保証(以下「承継特別」という。)を推進策として、以下のことに取り組んだ結果、3件で5,148
万円を保証承諾しました。
・ 経営者保証コーディネーター(以下「経保Co」という。)と連携を強化するために11回の月例会議を開催
し、今後の取組み方針、承継特別利用見込み及び進捗状況などを協議しました。
・ 県内の2金融機関の研修会において、経保Coと協働して承継特別の説明を行い、前年度から累計7金融機関へ
の個別説明を実施しました。
・ 当協会利用先の中から、承継特別候補先リストを金融機関ごとに作成し、合計746社を抽出。承継特別の説明
をした金融機関に対し、経保Coと抽出先の財務内容などをさらに精査したうえで提案しました。
(県内4信用金庫及び1信用組合のリスト合計239社 → 精査後60社)
イ 親族内への承継を考えている2社に対し、事業承継計画策定の支援に対応しました。
承継特別の保証承諾は3件、5,148万円と低調であった。県内の金融機関に対して、「承継特別」の説明を行い
取扱件数の増加を図りつつ、今後保証申込先や条件変更(代表者変更)申込先の中から「承継特別」対象先には当
協会から提案するなど積極的に取り組む必要があります。
③ 経営支援の効果測定のためのデータ蓄積
各支援項目ごとの取組実績として、以下のようなデータ蓄積を行いました。
支援内容 |
支援対象企業数 |
申込み |
計画提示 (サポート会議) |
モニタリング |
|
創業支援 (創業資金利用先) |
75社 |
― |
― |
59回 |
|
経営改善支援 |
217社 |
18社 |
19社 |
183回 |
|
|
うち、専門家派遣事業利用先 |
113社 |
18社 |
8社 |
85回 |
うち、経営改善支援センター利用先 |
74社 |
― |
8社 |
84回 |
|
うち、独自で計画策定先 |
30社 |
― |
3社 |
14回 |
|
再生支援 (再生支援協議会関与先) |
93社 |
― |
12社 |
110回 |
|
事業承継支援 (専門家派遣事業利用先) |
5社 |
2社 |
0社 |
2回 |
|
合 計 |
390社 |
20社 |
31社 |
354回 |
今後もデータ蓄積を継続しつつ、令和4年度では検証作業も実施していきます。
⑶ 回収部門
総回収実績 6億846万円(計画比110.6%、前年比 110.2%)
<内訳> 定期回収2億2,824万円(同91.3%、同91.2%)
入金件数 19,239件(前年比△2,054件)
不動産回収1億 871万円( 同108.7%、同 196.8%)
⇒任意処分 7,049万円、競売3,822万円
その他回収 2億7,151万円(同135.8%、同110.0%)
⇒ 一括回収 1億6,110万円、破産配当他1億1,041万円
以上、定期回収は、定期回収先の一括完済や未入金先の増加により、件数が減少し計画を下回りました。不動産回収は、処分件数の増加により昨年を大幅に上回りました。また、その他回収も求償権消滅保証による回収や大口の破産配当により計画を上回りました。この結果、全体の総回収実績では計画を達成しました。
① 回収効率化の促進
・ 一部弁済による保証債務免除11件(前年比 ▲2件)回収額691万円(前年比 △1,149万円)
・ 求償権消滅保証の取組(保証承諾)2件(前年比▲2件)回収額7,222万円(前年比▲7,222万円)
・ 減免による一括完済225件(前年比△1件)回収額1億6,110万円(前年比△3,686万円)
・ 不動産競売24件(前年比▲21件)回収額3,822万円(前年比1,497万円)
以上、保証債務免除による回収は、金額は前年度を大きく下回ったが件数は増加しました。求償権消滅保証による回収は、前年度からの相談案件のうち2件が保証承諾となり大口回収となりました。減免による一括完済回収は、金額は減少しましたが件数は前年並みを維持しました。不動産競売は、過年度申立事件の落札増により件数、金額ともに増加しました。今後も、求償権先の実情把握に努め、案件ごとの細やかな対応を図り、回収効率化に取り組む必要があります。
② 求償権管理の効率化
・ 管理事務停止手続 322件(前年比△39件) 18億3,494万円(前年比 68.2%)
・ 求償権整理手続き 378件( 同 △21件) 29億6,401万円( 同 74.1%)
以上、求償権整理等を促進した結果、年度末の求償権残高は、件数5,549件、金額385億8,422万円(うち回収可能求償権残高件数3,104件、金額202億1,967万円)と前年比件数394件、金額26億8,853万円減少しましたが、1.5人の回収担当者削減(兼務職員1名とサービサー職員1名)もあり、回収担当者1人当りの件数、金額は増加しています。今後も積極的に案件の回収見極めを行い、求償権管理の効率化に取り組む必要があります。
⑸ その他間接部門
① 内部管理体制の充実
コンプライアンス・プログラムに掲げた項目を着実に実施し、コンプライアンス意識の浸透に努めました。また、反社会的勢力等の排除に向けて、情報収集やスクリーニング作業に取り組み、反社としてのべ46名、特記・特筆情報者としてのべ9社30名を登録しました。
また、令和3年8月大雨災害や原油価格高騰等に対し、県や全保連等から情報を収集し相談窓口の設置や特別保証制度の創設などを迅速な対応を行いました。
以上、コンプライアンスに対する高い意識を継続させるため、今後もコンプライアンス・プログラムの着実な実施と内部検査等でのチェックに努めます。また、反社会的勢力等を排除するため、引き続き情報収集に努めるとともに、県警や関係機関と連携を図っていきます。
② 人材の育成と職場環境の充実
職員の専門的知識の習得及びスキルアップに努めるため、コロナ禍ではありましたが全保連主催の研修・セミナー等にWEBで参加させ、計画どおり消化できました。また、新入職員に対するOJTを計6回開催し、基礎知識の向上に努めました。
年間健康推進計画の着実な実施により、職員の健康維持に努めました。
・ 衛生委員会 … 令和3年度4回開催
・ 健康管理 … 定期健康診断、脳ドック、ストレスチェック、情報機器作業検診等を実施
以上、職員の専門的知識の習得及びスキルアップを図るため、引き続き研修(WEB研修含む)、セミナー等を活用します。また、健康な職場づくりに向けて、今後も年間健康推進計画の着実な実施と内容の充実に努めます。
③ 広報活動の充実
新たな手法としてLINE(SNS)を開設し、協会の取組みや関係機関のイベントなど随時情報提供を行いました。
また、協会キャラクター(かちうみん)を制作し、PR活動を展開しました。
・ リーフレット、チラシ、ノベルティグッズの作成およびプレスリリース等を随時行いました。
・ 県内金融機関店舗のデジタルサイネージを活用し、保証制度の案内を実施しました。
・ 協会キャラクターを使用したノベルティグッズ(クリアファイル、付箋紙)を作成しました。
以上、引き続き、新たな取組みについて継続して情報発信に努めます。