1 業務環境

⑴ 地域経済及び中小企業の動向

 福岡財務支局佐賀財務事務所の佐賀県内経済情勢報告によると、県内経済は「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるなか、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しつつある。」とされています。

 ㈱東京商工リサーチ調べの令和2年度の佐賀県企業倒産状況(負債1,000万円以上)によると、倒産件数は38件、負債総額は36億4,100万円となりました。件数は2年ぶりに前年度を上回ったが、昭和46年の集計開始以来、過去7番目の低水準となりました。負債総額は3年連続で前年度を下回り、2年連続で40億円割れ、集計開始以来4番目の少なさでした。なお、新型コロナウイルス関連倒産は10件発生しました。

 県内企業の動向については、令和2年4月16日に緊急事態宣言が発出されるなど経済活動が制限され、全ての業種に大きな影響が出ました。県では令和2年3月9日に「新型コロナウイルス感染症資金繰り対策資金」を、国では令和2年5月11日に「新型コロナウイルス感染症対応資金」(以下「コロナ資金」という)を創設し、中小企業の資金繰り支援が全力で行われました。

 

⑵ 中小企業向け融資の動向

 県内に本店を有する地方銀行及び第二地方銀行の中小企業等貸出金残高(令和3年3月末)によると、地方銀行は1兆3,309億円(前年度比107.9%)、第二地方銀行は1,777億円(同110.0%)となっています。

 一方、当協会の保証債務残高(令和3年3月末)は、殺到したコロナ資金に全力で対応した結果、2,035億円(同273.5%)と急激に増加しており、これは平成10年の金融安定化対策(貸し渋り対策)時の保証債務残高(平成10年度末2,055億円)に匹敵する金額となりました。

 

⑶ 佐賀県内中小企業の資金繰り状況

 コロナ禍において売り上げが減少するなど資金繰りが悪化するなか、コロナ資金など大規模な緊急経済対策により、大規模な資金供給が実施されました。このことが、倒産抑止に繋がっていると思われます。しかしながら、業績の回復が遅れている中小企業などは過剰債務となっており、今後の影響が懸念されます。

 

⑷ 佐賀県内中小企業の設備投資動向

 福岡財務支局佐賀財務事務所の法人企業景気予測調査によると、令和2年度通期の県内設備投資動向(前年度比増減率)は、製造業は前年比6.5%の減少見込み、非製造業は同53.0%の増加見込みとされており、全産業では同1.4%の増加見込みとされています。規模別でみると、中小企業は同45.4%の増加見込みとされています。

当協会の令和2年度保証承諾における設備資金の金額構成比は1.0%で、前年度から14.1ポイントの減少(令和2年度設備資金承諾額17億7,200万円/対前年度比46.0%)となっています。これは、コロナ禍における売り上げの減少等により、資金繰りなどの運転資金の申込需要が圧倒的に多かったことが窺えます。

 

⑸ 佐賀県内の雇用情勢

 佐賀県主要経済統計速報によると、県内の雇用情勢は、有効求人倍率(就業地別・令和3年2月現在)は1.23倍で前年同月を0.17ポイント下回り、18か月連続で前年同月を下回っており、感染症の影響により弱い動きとなっています。

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