4 重点課題の取り組み状況

  昨年度の重点課題として掲げた項目への取り組み状況は、以下の通りです。

⑴ 保証部門

① 保証利用の維持・向上

  ・ 県円滑化借換資金の弾力運用終了に伴い、中小企業者の借り換え需要等に対応するため、県経営安定化資金等の利用促進に努めました。県経営安定:183件 29億9,497万円(前年比1,011. 1%)、 がんばる企業支援:60件 13億4,610万円(同180.5%)

  ・ 中小企業者等との相談機会を拡大するため、定例相談開催地区を2か所追加し、(佐賀市北部及び南部地区)中小企業者との面談や金融機関訪問回数を増やしました。また、相談案件の事前議制を実施し、保証審査の迅速化に努めました。

               中小企業者への訪問・面談:171企業(同111.0%)、金融機関営業店訪問:621回(同126.2%)

  ・ 中小企業者、税理士等、金融機関及び保証協会のリレーショシップの強化を図るため、九州北部3県の保証協会で協定し、九州北部税理士会と連携した保証制度「税理士連携保証(TAG)」を平成28年12月5日に創設し、保証利用の促進に努めました。

         税理士連携保証(TAG):18件 5億400万円

     以上、県制度の推進及び新保証制度の創設並びに定例相談地区の拡大等により保証利用の促進に努めましたが、金融緩和政策による貸出金利低下等を要因とする保証離れの影響もあり、保証承諾は2,344件 215億円(計画比71.7%)、保証債務残高は10,700件819億円(同91.0%)とともに計画未達成となりました。今後も中小企業者及び金融機関等のニーズへの対応を強化し、保証利用の促進に繋げていく必要があります。

 

② 経営・再生支援の充実

  ・ 経営支援経営支援強化促進補助金事業の活用による申込み企業:26企業(前年度43企業)、専門家派遣実施企業:26企業(同42企業)、経営改善支援センターとの連携による経営改善計画策定企業:30企業(同45企業)、経営支援先のバンクミーティング「計画説明会62回:(同80回)、実績検討会:205回(同169回)」を実施しました。

  ・ 再生支援再生支援協議会の関与による再生計画策定企業:16企業(同22企業)、再生支援協議会関与先に対する金融支援としての条件変更:124企業(同 129企業)、新規保証:13企業(同9企業)、         再生支援先のバンクミーティング「計画説明会:26回(同 37回)、実績検討会:196回(同209回)」を実施しました。

 

     以上、前年度に続き、今年度も企業の経営改善計画策定支援策として、経営支援強化促進補助金を活用した専門家(中小企業診断士)派遣事業及び経営改善支援センターとの連携並びに再生支援協議会関与先の再生計画達成に向け、適正かつ迅速な金融支援に取り組んだことから、対象企業は298企業(同295企業)とやや増加しました。次年度も経営支援強化促進補助金を活用し、専門家派遣事業による企業の経営改善計画策定支援を継続する必要があります。また、「条件変更改善型借換保証」を活用した返済緩和先の正常化促進にも取り組んでいきます。

 

③ 創業者支援の充実

  ・ 佐賀市で創業者セミナー(参加者38名)を開催、武雄商工会議所主催の創業セミナー(参加者20名)に講師として職員を2名派遣しました。また、創業保証利用先52企業に対し、業況確認及び経営相談のフォローアップを実施しました。

  ・ 日本公庫と協調した創業資金の保証承諾:7件 5,700万円(前年比91.2%)

     以上、経営支援強化促進補助金を活用した創業者セミナーの開催及び創業セミナーへの講師派遣並びに日本公庫との協調支援体制を継続したものの、創業資金の保証承諾は39件 1億7,765万円(同   62.3%)と減少しました。今後も、創業者セミナーの開催やフォローアップを継続し、創業者の経営安定等を支援する必要があります。

 

⑵ 期中管理部門

① 期中管理の充実

  ・ 事故報告前の延滞先に対して、金融機関と連携し早期対応に取り組みました。

    対象先28企業の協議内容 … 延滞解消(6)、 返済緩和の条件変更(8)、 専門家派遣(2)、代位弁済(1)、 継続協議(11

  ・ 最終期限が到来する返済緩和先に対して、金融機関と連携し早期対応に取り組みました。

         対象先37企業の協議内容 … 返済緩和の条件変更(32)、 借換え(1)、 代位弁済(1)、 完済(3)

  ・ 新規事故報告先に対して、金融機関と連携し早期対応に取り組みました。※企業面談実施12企業

    対象先42企業の協議内容 … 延滞解消(2)、 新規保証(1)、 返済緩和の条件変更(14)、 専門家派遣(2)、 担保処分(2)、 代位弁済(14)、 完済(2)、 継続協議(5)

    以上、初期延滞先及び事故報告先への早期着手により延滞債務残高は前年比73.5%と減少しました。今後も金融機関と連携した期中管理に取り組む必要があります。

 

② 返済緩和先に対する対応拡充

  ・ 国の「経営支援強化促進補助金事業」を活用して、金融機関等との連携による企業の経営改善計画策定支援に取り組みました。

     専門家(中小企業診断士)派遣実績 … 派遣打診 31(6)企業、 派遣実施 26(6)企業、 

        ※経営支援課との合算、( )内は管理一課対応分

 

     以上、経営改善計画策定支援及び事後のモニタリング等により、業況が厳しい中小企業者に対する金融支援を継続しました。今後も金融機関及び再生支援機関等と連携した再生支援に取り組む必要が  あります。

 

⑶ 回収部門

① 有担保求償権の再点検による不動産処分の促進

   ・ 総回収実績 7億9,475万円(計画比61.1%、前年比87.0%)

         <内訳> 定期回収  3億6,073万円(計画比90.2%、前年比91.2%)

           不動産回収 2億 709万円(  同 37.7%、 同  80.6%)

           その他回収 2億2,693万円( 同 64.8%、 同  87.0%)

   ・ 有担保案件(472企業)の回収進捗状況に応じた処分交渉促進に取り組みました。

     ※( )内は前年度末との比較

         <内訳> 任意処分依頼中  47(-11)企業  競売進行中   22( +1)企業  

                        担保処分済み 44(+39)企業  担保処分交渉中  0(-45)企業  

                        保留中(合意) 198(+61)企業  保留中(長期) 0(-96)

                        企業保留中(価値なし)123(+13)企業  管理事務停止 38(+38)企業

 

  以上、不動産回収における処分交渉は促進できましたが、実際回収にはつながりませんでした。今後は処分保留(合意)案件に対する再交渉に取り組む必要があります。

 

 

② 求償権状況に応じた早期回収の促進

         損害金減額免除による一括回収、事業継続先への求償権消滅保証等により早期回収に取り組みました。

    ・ 損害金減額免除による完済    124件 回収額 2億8,164万円(前年比103.2%)

    ・ 一部回収による保証債務免除 3件 回収額   1,340万円( 同  34.8%)

    ・ 求償権消滅保証の取り組み    企業への提案18件  保証承諾2件/3,300万円(うち求償権回収額1,086万円)

 

  以上、損害金減額免除及び求償権消滅保証等は一括回収に有効な提案となりました。今後も能動的な返済交渉による早期回収に取り組む必要があります。

 

⑷ その他間接部門

  【コンプライアンス部門】

 

① コンプライアンスの徹底

     コンプライアンス・プログラムに計画したコンプライアンスチェックシート及び研修・啓発活動を着実に実施し、さらに各部朝礼でのコンプライアンスマニュアルの音読、個人データの点検報告の定期的な取り    組みなどにより、役職員等のコンプライアンスに対する意識の徹底に努めることができました。

 

       以上、コンプライアンスの徹底を図るため、コンプライアンス・プログラムの着実な実施及び見直しに今後も努めていきます。

 

② 反社会的勢力等に対する取り組み強化

    コンプライアンス統括部署及び委員会における反社会的勢力等の情報収集やスクリーニング作業の実施、県暴力追放運動推進センター主催の不当要求防止責任者講習会の受講者を増やすなど、反社 会的勢力等に対する取り組みの強化を図ることができました。さらに日本公庫等から反社事案に係る保険上の運用ルールが示されたこともあり、反社が関係した保証事案について具体的な対応に取り組むことができました。

     ・ 情報収集(登録者)      反社関係…21名、特記・特筆情報…28名

     ・ 不当要求防止責任者講習受講  定期講習…4名、選任時講習…2名

    以上、反社会的勢力等に対する取り組み強化を図るため、不当要求防止責任者講習の活用及び反社事案に対する代位弁済から管理回収時の取り扱いノウハウの蓄積など組織一丸となった体制作りに  努めていきます。

 

⑷ その他間接部門

【その他間接部門】

 

① 広報活動の充実

    従来からの施策を継続しつつ、27年度から取り組みを開始した九州地区8協会での共同広告、佐賀大学経済学部への出前講座及び金融相談窓口開設等のプレスリリースによる広報活動に取り組みました。また、27年度からの課題であった「信用保証事務の手引き(改訂版)」を発刊することができました。

    特にプレスリリースと佐賀大学への出前講座の広報活動は、反響もあり一定の効果が得られたものと考えています。

     ・ プレスリリース    金融相談窓口開設…5回、その他…4回

     ・ 佐賀大学への講師派遣 7月13日…受講者数 約260名、7月20日…受講者数 約260名

 

     以上、今後も協会の知名度アップと保証利用拡大につながるよう広報活動に取り組んでいきます。

 

② 人材の育成

    質の高い金融サービスを提供するために、階層別・課題別・業務別に体系化された全国信用保証協会連合会が主催する研修等に職員を受講させ、専門的知識の習得に努めることができました。さらに新入職員向け研修の見直しを行うとともに、佐賀大学への出前講座による職員のプレゼンテーション能力等の向上に努めました。

     ・ 研修 全保連主催…階層別5課目のべ6名受講、課題別4課目のべ5名受講、業務別1課目

                                           のべ2名受講、その他3課目のべ3名受講

            外部団体主催…9課目のべ12名受講

     以上、信用補完制度の改革が進む中、職員の専門的知識の習得や能力開発は必要であり、研修メニューの充実や見直しに努め、大学への出前講座にも継続して取り組んでいきます。

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