4 重点課題の取り組み状況

 昨年度の重点課題として掲げた項目への取り組み状況は、以下の通りです。

⑴ 保証部門

① 中小企業者等に寄り添った保証支援の充実

 ・ 県内16か所での定例相談を活用し、中小企業者等と面談の機会を増やし、資金ニーズへの適格な対応に努めました。

中小企業者との面談:238企業(前年比 139.2%)金融機関訪問:559回(同90.0%)、相談企業数639企業(同113.1%)

 ・ 中小企業者にとって利便性の高い保証制度の提案を行い、保証推進に努めました。

県創業・新事業展開等資金:148件17億円(同100.0%)、がんばる企業支援資金:45件

              9億4,400万円(同70.1%)、税理士連携保証(TAG):143件17億4,600万円(同346.4%)

 ・ 審査に係る必要書類のスリム化を図るとともに、企業の財務内容等に応じクイック保証(金融機関との提携商品)を提案するなど、審査の効率化、迅速化に努めました。

              審査日数:28年度平均4.2日→29年度平均3.6日

 

   以上、中小企業者に接する機会の増加を図るとともに審査の迅速化に努め、中小企業の資金繰り円滑化に貢献しました。今後も、中小企業者のライフステージに応じた多様な資金需要にきめ細かく対応  し、中小企業の経営改善・生産性向上に向けた取り組みを推進していきます。

 

② 創業者支援の充実

 ・ 昨年に引き続き、経営支援強化促進補助金を活用して創業者セミナーを開催しました。

      佐賀市で創業者セミナーを開催(参加者25名)。内容:基調講演、パネルディスカッション等

 ・ 当協会の創業資金利用者の傾向などを検証したうえで、創業者向けの新保証制度の必要性について検討を行いました。

      創業保証平均額500万円、創業後1年未満の再利用者割合8.1%、5年未満22.9%、再利用平均額700万円

      平成30年4月から、創業関連保証の限度額が増額(1,000→2,000万円)されるため同制度の有効活用に取り組みます。

 ・ 昨年度、創業資金を利用した先へのモニタリングを通じ、必要に応じて関係機関との連携に取り組みました。

      金融機関や商工団体と連携の下、モニタリング36企業のうち新規保証(4企業)・返済緩和(1企業)を実施しました。

 

  以上、創業者セミナーの開催及び関係機関と連携した取り組みにより、創業保証は42件(前年比107.6%)2億8,000万円(同157.6%)と増加しました。今後も、当協会利用の創業者への支援策を充実させ るため、保証後のモニタリング強化並びに増額となる創業関連保証の有効活用及び創業者の目線に立ったセミナーを継続開催していきます。

 

③ 経営・再生支援の充実と強化

 ・ 経営支援/今年度の当協会専門家派遣事業では、従来の経営改善計画に生産性向上計画を加えた策定支援に取り組みました。

      経営改善計画策定支援:相談 31企業(前年度±0企業)、申込み 19企業(同△7企業)、派遣実施 19企業(同△7企業)

      生産性向上計画策定支援:相談 4企業、申込み 3企業、派遣実施 3企業

             経営改善支援センター関与による対応状況:経営改善計画への同意 17企業(同△13企業)

 ・ 再生支援/中小企業再生支援協議会関与先への金融支援(新規保証)は、メインバンクと協調の下で積極的に取り組みました。

            再生支援協議会関与による対応状況:再生支援計画への同意 15企業(同△1企業)

            再生支援協議会関与先への新規保証:4企業(同△9企業) 全先がメインバンクのプロパーと協調支援

            抜本的金融支援の取り組み:求償権消滅保証:2企業 1億3,000万円(同±0企業9,700万円)

  ・ 返済緩和先への正常化促進と再生完了先への対応/モニタリングを通じて経営改善に至ったと判断

             できる先については、借換一本化などで正常返済を促しました。また、新たに再生完了先を個別訪問し、最近の業況など確認しながら利便性が高い保証制度などの紹介や提案に取り組みました。

      返済緩和先の正常化促進(借換一本化):28企業(同+14企業)7億7,400万円(同+2億8,400万円)

            再生完了先訪問:25企業 うち7企業へ3億6,100万円を新規保証

 

     以上、各計画策定支援並びに返済緩和先の正常化促進等により、条件変更の保証債務残高は前年度末の140億円から130億円に減少しており、中小企業の経営改善に貢献しました。次年度も専門 家派遣事業を柱としたうえで、関係機関と更なる連携強化を図りながら経営支援に取り組んでいきます。また、引き続き経営改善の成果が認められる企業については、正常化返済を積極的に促していきます。

 

⑵ 期中管理部門

① 期中管理の充実

 ・ 初期延滞先(延滞3回未満)に早期対応するため、金融機関と方針協議を行いました。

      協議先419企業(前年比1496.4%) … 延滞解消165企業、返済緩和39企業、専門家派遣2企業、代位弁済18企業、協議中195企業

   ・ 最終期限が到来する返済緩和先に早期対応するため、最終期限3か月前から金融機関と方針協議を行いました。

             協議先87企業(前年比235.1%)  … 延滞解消2企業、返済緩和62企業、新規保証1企業、代位弁済4企業、完済他18企業

   ・ 新規事故報告先に早期対応するため、金融機関と方針協議を行いました。

      協議先112企業(前年比266.7%)  … 返済緩和17企業、代位弁済48企業、協議継続中他47企業

    以上、初期延滞先及び事故報告先への早期着手により延滞債務残高は前年比58.1%、代位弁済額は前年比62.4%と減少しました。今後も金融機関と連携した期中管理に取り組む必要があります。

 

② 返済緩和先に対する経営・再生支援

    国の「経営支援強化促進補助金事業」を活用して、金融機関等との連携による企業の経営改善計画策定支援に取り組みました。

専門家派遣事業22企業(前年比84.6%) … 打診35(4)企業、申込22(1)企業、導入22(1)企業  

                                                                                                  ※( )内は管理一課対応分

 

   以上、経営改善計画策定支援及び事後のモニタリング等により、業況が厳しい企業に対する金融支援を継続しました。今後も金融機関及び再生支援機関等と連携した再生支援に取り組む必要があります。

 

⑶ 回収部門

① 有担保求償権の再点検による不動産処分の促進

    ・ 総回収実績 8億8,337万円(計画比88.3%、前年比111.2%)

      <内訳> 定期回収  3億2,699万円(計画比88.4%、前年比90.6%)

           不動産回収 2億3,357万円( 同 89.8%、  同 112.8%)

           その他回収 3億2,281万円( 同 87.2%、  同 142.3%)

     ・ 有担保案件(449企業)の回収進捗状況に応じた処分交渉促進に取り組みました。

    ア 交渉強化した「担保処分保留中(合意)・担保処分交渉中の237企業」への対応状況 

    ※ 下記イの内数 … 処分済み15企業、 再交渉済み222企業

    イ 有担保案件449企業(全体)の担保処分進捗状況  

     ※ ( )内は前年度末との比較 … 処分済み46(+46)企業、 任意処分依頼中48(△8)企業、 競売事件進行中12(△12)企業、早期処分困難・交渉継続214(△23)企業、担保価値なし129(△3)企業

 

   以上、有担保案件の再点検・再交渉が不動産回収増加につながりましたが、総回収額は計画未達となりました。今後は、弁済交渉促進による入金件数増加と回収見込に応じた効率的な回収業務に取り組む必要があります。

 

② 求償権状況に応じた早期回収の促進

    ・ 損害金減額免除による完済   106件 回収額 2億9,636万円(前年比105.2%)

    ・ 一部弁済による保証債務免除   12件 回収額   2,590万円( 同 193.3%)

    ・ 求償権消滅保証の取り組み  企業へ提案8件  

                                                      保証承諾3件/1億3,000万円( 同 393.9%)

                                                      うち回収額1億1,220万円( 同 1033.1%)

 

   以上、損害金減額免除等は一括回収に有効な提案となりました。今後も能動的な返済交渉による早期回収に取り組む必要があります。

 

⑷ その他間接部門

① コンプライアンスの徹底

   コンプライアンス・プログラムに計画した研修・啓発活動等の項目を着実に実施し、コンプライアンスチェックシートや内部検査等により、役職員にコンプライアンスに対する意識の浸透に努めることができました。

 

    以上、コンプライアンスに対する意識の向上は、継続した取り組みが必要であり、今後もコンプライアンス・プログラムの着実な実施、点検及び見直しに努めていきます。

 

② 反社会的勢力等の排除に向けた取り組みの強化

    コンプライアンス統括部署及び委員会において反社会的勢力等の情報収集やスクリーニング作業を毎月定期的に実施し、県暴追センター主催の不当要求防止責任者講習の受講に取り組みました。さら  に平成29年10月には、全国暴追センターから全保連を経由して情報提供されることになり、情報授受後の運用方法の整備及び全国暴追センター情報のスクリーニング作業を実施し、取り組みの強化を図ることができました。

   ・ 情報収集(統括部署等での登録者) 暴力団員等…6名、特記・特筆情報…34名

   ・ 全国暴追センター情報の統括部署への顧客情報照会…3名

 

    以上、反社会的勢力等の排除に向けて一定の取り組み強化を図ることができ、今後も情報収集、スクリーニング作業及び不当要求防止責任者講習の受講に継続して取り組んでいきます。

 

③ 広報活動の充実

    従来からの施策を継続しつつ、九州地区8協会で金融業界紙への共同広告掲載、佐賀大学への出前講座及びプレスリリースを活用した広報活動に取り組みました。さらに季刊誌「GUARANTEE  REPORT」を保証月報に統合し、情報発信方法として新たに電子書籍ポータルサイトの利用を開始して、協会の取り組みについて迅速かつ業界関係外にも広く情報発信することができました。また、平成28年度から開始した佐賀大学への出前講座は2年目となり、徐々に広報効果が得られてきています。

    ・ プレスリリース     金融相談窓口開設…1回、その他…3回

    ・ 佐賀大学への講師派遣  7月12日…受講者数 約260名、7月19日…受講者数 約260名

 

    以上、今後も協会の知名度アップにつながるように、広報活動の充実に努めていきます。

 

④ 人材の育成

    信用補完制度の見直しに伴い、幅広くなる業務に対応するため、全保連や外部団体が主催する研修及びセミナー等の受講並びに信用調査検定を受験させ、職員の専門的知識の習得及びスキルアップに努めることができました。また、佐賀大学への出前講座により職員のプレゼンテーション能力等の向上に努めることができました。

    ・ 研修・セミナー等 全保連主催 … 階層別6課目のべ8名受講、課題別3科目のべ4名受講、業務別1課目1名受講、その他4課目のべ5名受講

                 外部団体主催… 10課目のべ20名受講

    ・ 信用調査検定試験 アドバンス2名受験

 

以上、環境の変化に対応できるよう職員の専門的知識の習得及びスキルアップは今後も重要であり、研修等メニューの見直しに努めていきます。また、佐賀大学への出前講座は、職員の能力開発にも大きな効果があるため、継続して取り組んでいきます。

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