4 重点課題の取り組み状況

 昨年度の重点課題として掲げた項目への取り組み状況は、以下の通りです。

⑴ 保証部門

① 創業者及び小規模事業者向けの推進

    ・ 各市町主催の創業塾等への講師派遣の相談を行い、3市1町へ講師派遣し保証制度の周知や推進を行いました。

      市町主催の創業塾等への講師派遣 … 実施 3市1町(1市は開催決定後中止)

            創業資金:54件 3億5,190万円(前年比125.7%)

  ・ 小規模事業者向けの保証推進として、県内16地区で行っている定例相談会や金融機関との勉強会及び商工団体主催の金融懇談会等で制度の紹介等を行い、保証推進に努めました。

      小口資金:63件 3億2,370万円億円(同101.7%)

 

               以上、創業塾等への講師派遣や金融懇談会等を通じ保証制度の周知を図り、創業者の増加や小規模事業者の資金繰り安定化に貢献すべく保証推進に努めました。県内でも中小零細企業の事業廃業等が高い水準にあり、中小企業者の減少が懸念されるため、今後も創業塾等や金融懇談会等で保証制度の周知、推進を積極的に行っていきます。


 

② 保証利用企業者数の維持・増加策への推進

     ・ 平成30年9月末現在で、3年以内に完済処理した法人543先に対し、保証の再利用を促すダイレクトメールを送付しました。また金融機関や商工団体との金融懇談会等へ積極的に参加し保証制度

     等の説明を行い保証利用の推進に努めました。

     金融機関及び商工団体との懇談会等…協会主催の県内金融機関との懇親会(参加者:214名)、金融機関3行及び佐賀県農業信用基金協会との勉強会(同:49名)、商工団体(12団体)との懇談会等

    保証利用企業者数…新規先利用状況:409件(同+8件)24億9,864万円(同+1億2,598万円)保証企業者数:7,083件(同-321件)、県内中小企業保証利用度:29.0%(同±0)

     以上、ダイレクトメール送付による保証の再利用を促す取り組みでは金融機関からの相談はあったが、実際の申し込みまでには繋がりませんでした。依然として保証利用企業者数及び保証債務残高は減少傾向にあり、引き続き維持・増加策の推進を行っていきます。

 

③ 金融機関との連携強化

     ・ 保証承諾時に金融機関支援状況の把握に努めました。また、県内金融機関の本部訪問を行い、リスクシェア認識の共有化を図りました。

      金融機関金融支援状況…総承諾件数2,329件のうちプロパーあり承諾件数割合49.0%(前年比+2.8%)

     ・ 平成30年4月に「中小企業に対する金融機関の紹介対応マニュアル」を策定。金融機関の紹介対応窓口を設置し、HP等で周知を図りました。窓口来協及び定例相談日訪問時に紹介対応等を行い ました。

            金融機関紹介状況…相談受付 16件、紹介実績 9件、保証実績 6件

 

      以上、県内金融機関の支援状況は、全国的にも高い水準にあるため、今後も継続的に金融機関との連携を図り、県内中小企業の金融の円滑化に対する取り組みを充実させていきます。

 

⑵ 経営支援部門

① 中小企業者に対する総合支援の取り組み

     ・ 創業支援

         創業関係に係る専任担当者の対応期間を1年間から3年間に延長し、フォローアップの充実に努めました。

      フォローアップ33企業のうち9企業から相談受付…事業面1企業、金融面8企業

     ・ 期中支援

        経営改善や生産性向上にやる気がある企業へ経営支援強化促進補助金を利用した専門家派遣事業により支援しました。

        専門家派遣事業(うち生産性向上):相談26企業(1企業)、申込み18企業(1企業)、実施18企業(1企業)  

     ・ 再生支援

         求償権消滅保証等で再生支援を行った企業に金融機関等と連携したフォローアップ支援に努めました。

      フォローアップ11企業のうち経営サポート会議等によってモニタリングを実施

                                      … 計画達成9企業、計画未達成2企業

     ・ 事業承継

         内部研修を2回開催し、佐賀県事業引継ぎ支援センター、佐賀県事業承継ネットワーク事務局から事業承継を学んだうえで、60歳以上の経営者から事業承継診断(アンケート)を徴収しニーズの把握

      に努めました。

      事業承継診断63企業:後継者決定35企業、後継者未定19企業、後継者不在9企業

      以上、各ライフステージにおける支援策を実施しましたが、設備投資計画としての生産性向上に係る専門家派遣事業のニーズが低調であったことから、次年度は金融機関等への広報等を強化していきます。また、事業承継診断によって後継者決定先の割合が多かったことから、専門家派遣事業をさらに拡充することや後継者の研鑽など事業承継支援も積極的に実施していきます。

    

       

 返済緩和先等に対する支援強化

       経営サポート会議(モニタリング会議)を通じて、条件変更先がキャッシュフローの改善が認められる場合には、積極的に借り換えによる一本化を提案し、金融取引の正常化を支援しました。

           条件変更先の借換件数40企業(前年度+12企業)借換金額7億2,000万円(前年比△5,200万円)

       以上、各種支援策の実施並びに返済緩和先の正常化促進等により、条件変更の保証債務残高は前年度の130億円から127億円に減少し、割合も17.2%から16.6%に縮小し、中小企業の経営支援に貢   献しました。次年度も専門家派遣事業を柱としたうえで、関係機関と連携強化を図りながら経営支援に取り組み、キャッシュフローや収益性の改善が認められる企業については、金融正常化取引を積極的   に促していきます。

 

 

⑶  期中管理部門 

初期延滞先への早期着手

      ・ 初期延滞先(延滞3回未満)に早期対応するため、金融機関と方針協議を行いました。

      協議先446企業(前年比106.4%、+2企業)…延滞解消133企業(同-32企業)、返済緩和64企業(同+25企業)、専門家派遣2企業(±0企業)、代位弁済32企業(同+14企業)、

          協議中215企業(同 +20企業)

      初期延滞残高 95企業(前年比95.0%、-5企業)4億7,435万円(同121.6%、+8,433万円、保証債務残高比0.6%)

 

     以上、初期延滞先の早期着手により、延滞企業数はやや減少しましたが、返済緩和先の延滞増加により延滞債務残高は増加しました。今後も金融機関と連携し、延滞解消や返済条件見直し等により正 常化支援に取り組んでいきます。

 

 事故報告先に対する支援策の検討・導入

       ・ 事故報告先の新規受付先に早期対応するため、金融機関と方針協議を行いました。

              協議先104企業(前年比92.9%、-8企業)…返済緩和10企業(同-7企業)、代位弁済48企業(同±0企業)、返済正常化他46企業(同-1企業)

       ・ 返済緩和先の返済増加予定時または最終期限一括予定時の3か月前から金融機関と方針協議を行  いました。

       協議先102企業(同117.2%、+15企業)…返済緩和72企業(同+10企業)、担保処分1企業(同±0企業)代位弁済3企業(同-1企業)、完済他26企業(同+6企業) 

       ・ 国の「経営支援強化促進補助金事業」を活用して、金融機関等との連携による企業の経営改善計画策定支援に取り組みました。

              専門家派遣事業(前年比200.0%、+1企業)…相談3企業(同-1企業)、申込2企業(同+1企業)、実施2企業(同+1企業)

 

    以上、事故報告先の業況把握や支援策検討等により、業況が厳しい企業に対する金融支援を継続しました。今後も金融機関等と連携し、事故報告先のフォローアップに取り組んでいきます。

 

⑷ 回収部門


① 求償権への基本的な対応

    ・ 総回収実績 6億6,820万円(計画比89.1%、前年比75.6%)

      <内訳> 定期回収  3億92万円(計画比86.0%、前年比92.0%)…入金件数25,812件(前年比95.7%)

           不動産回収 1億1,201万円(同80.0%、同48.0%)…任意処分6,943万円、競売4,259万円

           その他回収 2億5,527万円(同98.2%、同79.1%)…一括回収1億4,812万円、破産配当他1億715万円

        ・ 代位弁済初年度回収 2,082万円(前年比42.4%)

 

      以上、定期回収は初動の徹底、未交渉先への交渉促進を促進しましたが、継続交渉不足もあり件数及び金額ともに減少しました。また不動産回収も任意処分も進展せず計画未達となりました。今後は関係人等との交渉を強化し、効率的な回収業務に取り組んでいきます。

 

② 定期弁済を継続している求償権への対応

       ・ 損害金減額免除による完済   122件(前年比115.1%)回収額 2億2,641万円(同76.4%)

      ・ 一部弁済による保証債務免除   16件(同61.5%)回収額 670万円(同25.9%)

      ・ 求償権消滅保証の取り組み    保証承諾2件/4,840万円(同37.2%)

                          うち回収額3,554万円(同31.7%)

 

    以上、損害金減額免除は、少額債権について一括及び分割返済(1年以内)の提案を行ったことで件数が増加しました。その他は対象事案が少なく、件数及び金額ともに前年を下回りましたが、今後も  関人等の状況に応じた解決策を提案し、早期回収に取り組んでいきます。

 

③ 回収見込みがない求償権への対応

   ・   管理事務停止手続  542件(前年比 106.7%)46億6,670万円(同 123.4%)

   ・   求償権整理手続   398件(前年比 196.1%)28億1,944万円(同 188.1%)

 

    以上、計画策定時の管理事務停止予定案件等について、定期的な会議等で処理手続きの周知徹底を図ったことで、件数及び金額ともに前年を上回りました。今後も事務効率化のため進捗管理を行い、積極的に取り組んでいきます。

 

⑸ その他間接部門

 

① コンプライアンス態勢の充実

  ・ コンプライアンス・プログラムに計画した項目を着実に実施し、役職員にコンプライアンスに対する意識の浸透に努めました。

       コンプライアンス統括会議及び委員会…毎月開催

       コンプライアンスチェックシート…平成30年9月実施

       コンプライアンスニュース…平成30年8月と平成31年2月に発行

       内部研修会…平成30年12月実施

 

  ・   反社会的勢力等(以下「反社等」という。)の排除に向けて、反社等関係者の情報収集やスクリーニング作業を毎月実施し、県暴追センター主催の不当要求防止責任者講習の受講等により取り組み強 化を図りました。

     情報収集しての協会登録者…暴力団員等 延べ23名、特記・特筆情報者 延べ10社33名

     不当要求防止責任者講習会…職員5名受講

 

  以上、コンプライアンス態勢の充実に向けて、今後も継続して取り組む必要があり、コンプライアンス・プログラム項目の着実な実施及び内容の充実、反社等の排除に向けて情報収集等に継続して取り組んでいきます。

 

② 人づくり及び健康な職場づくり

  ・ 人材育成に向けて、中小企業診断士養成課程への派遣、全保連や外部団体が主催する研修等の受講、信用調査検定の受験及び佐賀大学への出前講座等に取り組み、職員の専門的知識取得及びスキルアップに努めました。

           研修等 全保連主催 … 階層別5課目延べ7名受講、課題別1科目1名受講、

                                              業務別3課目延べ5名受講、その他4課目4名受講

           外部団体主催 … 9課目延べ11名受講

        信用調査検定試験 アドバンスとベイシスに各1名受験

 

   ・ 健康な職場づくりを目指して、衛生委員会で策定した年間健康推進計画の項目を着実に実施し、職員の健康増進と疾病による休職者の未然防止に努めました。

 

     以上、環境の変化に対応できる人材の育成は今後も重要であり、職員の専門的知識の習得及びスキルアップに向けて、研修等メニューの見直しに取り組んでいきます。また、職員の健康管理とワークライフバランスの推進により、健康でかつ活力のある職場づくりに取り組んでいきます。

 

③ 広報活動の充実

   協会の活動や取り組みを幅広く発信するため、広報誌の「保証月報」をリニューアルして協会の活動等の記事を増やし、新たな広報媒体として佐賀県地域産業支援センターが発信しているメールマガジンを利用して、直接中小企業者に情報発信を開始しました。また、平成28年度から開始した佐賀大学への出前講座に加えて、平成30年度から同大学のゼミ生を協会事務所に招いて職場体験授業を実施し、協会の知名度アップに努めました。

    ・ 佐賀県地域産業支援センターメールマガジン登録企業数…約1,500社

    ・ 佐賀大学への出前講座等 出前講座…7月4受講者数245名、7月11日受講者数245名

                        職場体験授業…10月23日受講生11名

 

   以上、協会の知名度アップにつながるように、今後も広報活動の充実に取り組んでいきます。

 

④ 地方創生等への貢献に努めるための取り組み推進

   地方創生等への貢献に努めるため、地公体主催の創業セミナーに協会から講師の派遣、事業承継セミナー等の共催や後援を行うことで県内の産業振興に努め、平成28年度から開始した佐賀大学への出前講座に加えて、30年度から同大学のゼミ生を協会事務所に招いて職場体験授業を実施し、金融・キャリア教育支援に努めました。  

        また、県担当課と県制度金融に関する意見交換会を実施し、町制度が創設されていない県内2町に制度創設の働きかけに取り組みました。

       ・ 創業セミナーに講師派遣…佐賀市(9月)、伊万里市(10月)、有田町(11月)、鳥栖市(2月)

       ・ 町制度創設に向けた訪問回数  みやき町商工会及び同町担当課…2回

                                                         上峰町商工会及び同町担当課…2回

      以上、町制度が創設されていない県内2町に働きかけを行い、制度創設に向けて取り組んでいきます。

 

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